就活前に読むべき本 〜3年で辞めた若者はどこへ行ったのか 〜

2016.12.30
企業動向/就活

目次

 本書は以下の構成になっています。

・はじめに

・第1章 キャリア編
 昭和的価値観
 1「若者は、ただ上に従うこと」–大手流通企業から外資系生保に転職、年収が二〇倍になった彼
 2「実力主義の会社は厳しく、終身雇用は安定しているということ」–新卒で、外資系投資銀行を選んだ理由
 3「仕事の目的とは、出世であること」–大新聞社の文化部記者という生き方
 4「IT業界は3Kであるということ」–企業ではなく、IT業界に就職したという意識を持つ男
 5「就職先は会社の名前で決めること」–大手広告代理店で、独立の準備をする彼
 6「女性は家庭に入ること」–女性が留学する理由
 7「言われたことは、何でもやること」–東大卒エリートが直面した現実
 8「学歴に頼ること」–会社の規模ではなく、職種を選んで転職を繰り返し好きな道を切り開く
 9「留学なんて意味がないということ」–大手企業でMBAを取得後、安定を捨てた理由

・第2章 独立編
 昭和的価値観
 10「失敗を恐れること」–大企業からNFLへ
 11「公私混同はしないこと」–サラリーマンからベストセラー作家になった山田真哉氏
 12「盆暮れ正月以外、お墓参りには行かないこと」–赤門から仏門へ、東大卒業後、出家した彼の人生
 13「酒は飲んでも呑まれないこと」–グローバルビジネスマンからバーテンダーへ
 14「フリーターは負け組だということ」–フリーター雑誌が模索する、新しい生き方
 15「官僚は現状維持にしか興味がないということ」–国家公務員をやめて、公務員の転職を支援する生き方
 16「新卒以外は採らないこと」–リクルートが始めた、新卒以外の人間を採用するシステム
 17「人生の大半を会社で過ごすこと」–職場にはりついているように見える日本男子の人生
 18「大学生は遊んでいてもいいということ」–立命館vs昭和的価値観
 19「最近の若者は元気がないということ」–日本企業を忌避しだした若者たち
 20「ニートは怠け者だということ」–「競争から共生へ」あるNPOの挑戦

・第3章 新世代編
 昭和的価値観
 21「新聞を読まない人間はバカであるということ」–情報のイニシアチブは、大衆に移りつつある
 22「左翼は労働者の味方であるということ」–二一世紀の労働運動の目指すべき道とは)

本書の要約

 以下、本書の要約です。

話題書ですが、話題になるだけのことはあります。他人にお薦めできる良書、ですがこんだけ売れてたらみんなもう読んでるか。
とりあえず「読むのメドイから要約キボンヌ」と言われたので、そのために作った要約をこっちにも載せちゃいます。使用上の注意。私の主観で纏めてるので、本書の内容との一致は保証しません。でも一応要約のつもりなので、私の主張とは一致しません。

・若者はなぜ3年で辞めるのか?
 不況により企業が新規採用を厳選した結果、新入社員は一定の能力・専門性を持ち仕事に高い意識を持つ者が多くなった。
 しかし新入社員に与えられる仕事は従来の年功序列型での新入社員に対するものと同様で、希望していた業務と実際の業務とのギャップが大きくなった。
 従来の年功序列型システムは、経済が成熟し成長を維持できなくなったことで崩壊している。
 その結果、若い世代は将来、(上の世代と同様の)高い賃金をもらう可能性が殆ど無い。
 さらに業務内容も、年功序列型企業では若手=下級にはやりがいの無いものが割り当てられる。
 現在の日本企業で取り入れられている成果主義の多くは年功序列型の上にかぶせただけで、問題を解決していない。
 名選手が監督になる制度から、名選手には選手としての優遇措置は与えつつ監督は監督としての資質で選ぶ制度への転換が必要。

・やる気を失った30代社員たち
 バブル世代は年功序列を想定して入社したのに年功序列制度は崩壊し、将来は暗い。
 30代は20代よりも転職は不利。しかし勤続しても年功序列レールは切れている。
 若者にツケを回す国
 企業や公務員の人員削減はリストラよりも新卒採用抑制で行われた。
 足りない若手を補う、いつまでも安く使えていつでも首を切れる非正規雇傭の増加。
 組合も年功序列で高年者の既得権益保護に力を尽くす。
 その結果企業は老化し、技術継承が途絶えている。
 他方、正規雇傭の若者は数の少なさから極めて膨大な業務をこなさせられる。
 若者の賃金が低いため少子化。
 年金等の福祉行政でも若者は老人のツケを払わされる。

・年功序列の光と影
 年功序列の影1) 既卒者の就職戦線からの排除。有効求人倍率が1.0倍を下回った世代は最悪。
 年功序列の影2) コストに合わない中高年は、減給できないため切り捨てになる。
 年功序列の影3) 高齢者には高級を用意する必要があるため、中途採用の年齢の上限を低く(35歳)する必要がある。
 年功序列制度の典型である国家公務員は、天下りの形をとったリストラで不要な中高年を切っている。天下りのコストは税金。
 「聖域無き構造改革」によって国家公務員の年功序列も存続困難。若者の国家公務員離れ。
 年功序列はねずみ講。
 年功序列によって世代内は平等でも世代間の格差が生み出されている。しかも今の20代は30年後に今の50代と同様の利益は受けられない。
 日本人はなぜ年功序列を好むのか?
 日本型の詰め込み教育が年功序列を好む土壌を作っている。
 戦国の平定以後の、自己を犠牲にして主君に忠誠を尽くすことを美徳とする土壌。
 企業は何も考えずに我慢してくれる「体育会系」を好む。
 年功序列制度は自身を存続するために若者を食い物にする。

・「働く理由」を取り戻す
 「自分は~をやりたい」という内的な動機を見つめ直し、それに従え。

  
http://d.hatena.ne.jp/okela/20070126/p1 より引用

最後に

本書は多くのアウトサイダーな若者、つまり、年功上列や社会的な指標で良いとされる「これまで大多数の人が選んだ生き方」とは異なった選択をした若者の例が数多く載っています。先週紹介した「社畜のススメ」と合わせて読むことで双方の考え方を理解することができます。その上で自分の納得する最善の選択をして欲しいと思います。

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記事作成:S.K
大阪大学修士1年


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